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・これを読まないと失敗する

2015/10/2〜

このような感じでやれば、5日間でできます。

ただし、本当に5日間でやってしまったのでは、卒業設計に本来求められるような思索の深みは出てこないし、限界まで自分の設計を高めること(リファインメント)も困難です。その部分は4日目の作業に相当します。つまり、4日目の作業が卒業設計の醍醐味であり、また、この作業にどれだけたくさんの時間をかけられるかが卒業設計の勝負どころとなります。

ところが、実際には、3日目までの作業に卒業設計のほとんどの時間を使っている学生が多いです。

手を動かす前からオリジナルにこだわってしまうと、自分自身がもつ本当のオリジナリティを見つける前に提出日が来てしまいます。ところが、ここで示したように、スタート時点では「パクリ」と非難されそうな方法を使えば、最終的にオリジナルな設計ができる可能性が高まります。

オリジナリティは、たとえばカレーづくりにたとえてみると、辛くするときに黒コショウを振るのか、チリペッパーを振るのかというような大きな違いではなく、黒コショウなら黒コショウに決めた上で、それを何粒振るのか、というような微小な相違に現れると思ってください。

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先日話題になったオリンピックのエンブレムで、結局は取り下げになったコンペ優勝案は、ベルギーの劇場のロゴのパクリであるという素人がたくさんいます。もしあなたが、あれをパクリであると言うなら、あなたにはオリジナルを作り出すことはできません。なぜなら、あれをパクリだと言う人は、オリジナリティがどういうところに宿るのかが分かっていないデザイン的な素養がない人たちだからです。(デザインするプロセスでパクリがあったかどうかは知りません。いま言っているのは、我々が目にすることができる最終的な絵柄に対しての話です。ついでにもうひとつ。)

ごく僅かの相違を見出し、そこを良く(リファイン)しようという態度が、オリジナリティを生み出していくのです。

壁の位置が数十ミリ違っただけでも、床に1〜2ミリの凹凸があっただけでも、使う人にとっては大きな違いとなったりします。オリジナリティとな無関係に、ごく僅かの相違を疎かにしてはいけないのが、設計です。それをやるのもやはり4日目の作業で、4日目の作業が出来るかどうかが設計の質に大きく影響するのです。