2012/7/4
極論を書くので、短絡的にとらえないようにしてください!
※2015/8/29 にリライト
卒業設計にかぎらず、設計課題において、コンセプトを考えるように言われた経験のある人も多いでしょう。
過去20年にわたって、卒業設計を、直接、あるいは、間接的に指導して思うのは、
初期段階において、コンセプトはいらない。
下手をすると、設計を進める上での障害にしかならない。
ということです。
では、どうやって進めればよいかを書いてみると、
ただし、
上記を読んで、学校で言われていることと違うけど、、と、混乱してきた人がいるかもしれませんね。
Wilipedia の コンセプト の項の「作品の概念・コンセプト」の部分を引用します。
人の手による絵画・書画・曲・文芸等の作品は、作者がその作品に込めた意図・意匠・目的・思い等の概念を有し、これを表現しており、「作品のコンセプト」等と言われている。又、受け手の感じ方によって新たな概念が付加される場合があり、作品に接する時代性や社会的価値観などの変化に伴って変わる。
これの 「受け手」 を 「その建物を使う人」に置き換えてみると、私が上に書いたことにつながりますね。
また、「受け手の感じ方によって新たな概念が付与される」 、、これはアフォーダンスに相当します。
建物は一般に自分だけのものではなく、多くの人が使うものなので、かならず、新しい概念(もっと簡単に言えば「使われ方」)が付与されるわけです。
だから、初期段階でコンセプトが確定することはありえません。
初期段階に抱いた思いと、できあがったものの両者を、その建物の利用者としての視点に立って観察した結果をすりあわせて初めて、コンセプトが組み上がるわけです。だから、結局、すべてできあがった後でないと、コンセプトは確定しないということになりますね。
そして、その建物の利用者としての視点に立った観察が 不十分すぎる場合、コンセプトではなく言い訳になってしまうわけです。気をつけてください。
Wikipedia の説明の中の、「時代性や社会的価値観の変化に伴って変わる」 については、卒業設計には手に余る部分なので、あまり気にしない方がよいでしょう。
さて、上に書いたことは、VectorWorks を使う使わないには、全く関係のないお話です。
※以下、2014/7/21 に追記。
上記は、「設計完了と同時にコンセプトは完成するので、設計プロセス初期で、設計せずにコンセプトをいじくり回すことにはあまり意味がない」、「設計プロセス初期で、設計を優先的に進めながら、コンセプトを考えることを同時進行せよ」というようなことを言いたいわけです。上記を軽率にとらえて、「コンセプトはあとから考えりゃいいや!」と思った人がいたら、その人はこの記事の読み方を間違えたということです。
では、設計開始時点のコンセプトと最終的なコンセプトが、全く正反対のものになったらどうしましょう?
今の私なら「良い設計であれば、気にする必要はない」と答えようと思いますが、指導教員に「ぜんぜん違うものができているじゃないか!」などと怒られたら、「自分が造りたいものを一所懸命考えているうちに、こちらの方が正しいと思えてきました」などと胸を張って伝えてみましょう。あなたのつくったものが「言い訳」ではなく「コンセプト」になっていたら、おそらく正当に評価してもらえるはずです。