建築ノート


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・1日目

2015/10/2〜

資料集めと下準備


図書館の開館と同時に入館。

2時間以内に、自分が設計しようとしている建物の類似例の平面図を2〜3例探して、その本を借り出す。貸し出し禁止のほんの場合は、その図書館の正しいやり方でコピーを取る。精選された事例を掲載している『建築設計資料集成』から探すのがベスト。雑誌に載っているものは玉石混淆なので、こういう場合の参考にはしない方がよい。

探しても見つかれなければ、現時点で考えている設計はあきらめ、何を設計するかについて、ゼロから考え直す。このとき、類似例の平面図を入手できることを前提としておく。

平面図は、スキャンしたり、写真を写したりして、必ずデジタルデータ化する(画像ファイルとして保存しておきましょう、ということ)。このとき、縮尺が分かる情報を合わせて記録しておくことが重要。スキャンする場合は、JPEG形式ではなく、TIFF形式またはPNG形式で。

平面図以外の情報(立面図、断面図、写真、関連図表など)もデジタルデータ化しておく。

ここまでで2時間。

BIMで敷地を描く。

敷地が決まっていない場合は、5日間で仕上げることは不可能。というより、まともな設計が出来るかどうかも怪しい(別記事参照のこと)。

当然ながら、周辺の道路や敷地も書く。

この作業に1時間。

次は駐車場(必要に応じて駐輪場も)を計画する。建物を建てる場所は駐車場を造った残りの部分と考える。駐車場計画をせずに建物の計画を始めると、後になって、地下駐車場だとか、建物全体を上にあげてピロティを作って駐車場をにするとか、あれこれ変なことをやらなければならなくなる。地下駐車場やピロティがダメだと言っているわけでなないので、当初からそのような計画にしてもよい。建物を考える前に、その建物にやって来る人たちが用いる交通機関を想定して、その人たちがどう動くかを考えなさい、ということである。また、サービス用の動線を忘れている人が多いので、必要に応じて、社用車、営業車、トラックなどが駐車、転回できる程度のスペースを確保しておく。

デジタルデータ化した平面図をBIMに取り込む。

スケールバーや縮尺が記載されている図面の場合は、それらを頼りに、読み込んだ平面図を拡大縮小して、寸法を調整する。

縮尺が分からない図面の場合は、まずは、たとえばトイレ個室、一般的な開き戸などの幅を900mmと仮定して図を拡大縮小する。次に、各部の寸法を測りながら(寸法線を退いても良い)、これでほとんど合っているだろうと自分が感じるところまで、拡大縮小を繰り返す。

予め描いておいた敷地に、なるべくフィットするように平面図を移動する。

たとえば細長い敷地に、正方形の平面図を置く場合など、敷地から平面図がはみだす場合があるだろう。その場合は、建築面積(平面図の面積)が敷地面積の60%以内※程度であれば、はみ出したまま置けばよい。建築面積がそれより大きいと後で苦労する恐れがあるので、ほかの事例を用いた方がよい場合がある。

※駐車場を計画すると、
大きくても敷地の60%くらいしか建物に充当できないだろう、
と考えておこう、ということでもある。

このとき重要なのは、平面図の水平垂直を画面の水平垂直に合わせること。だから敷地の方位が傾くこともある。なぜそうするかというと、操作の手間を減らすため。ただし、敷地の南北と画面の上下が大きく(30度以上くらい)異なる場合は、ポストイットなどの付箋紙に方位を書いて画面に貼り付けておく。

ところで、敷地に平面図を載せるとき、前面道路との関係が非常に重要であるので、かなり気をつける必要がある。たとえば、前面道路が南で建物のメインアプローチも南にあるとする。一方自分が選んだ敷地の前面道路が北側だったら、この平面図を使うときに少し苦労する。だから、事例と自分の敷地の前面道路位置がなるべく一致した方がやりやすい。

この作業も1〜2時間。

取り込んだ平面図の部屋形状を、四角形ツールでなぞる。複数階ある場合は、すべての階について。

多少の凹凸は気にしない。一方で、たぶんトイレなどは凸凹している場合が多いだろう。たとえばトイレは男・女・多目的の3つの部分に分けながら、多角形ツールで書いたり、四角形を合成、変形させてなるべく形を合わせておくと後で使いまわしやすい。

廊下、通路など、人が同じ位置に数分間以上滞留する可能性が低い水平移動空間は、塗り分けする必要なし。一方で、階段やEVは、それぞれを別々の四角形として書いておく。

この作業は、機械的に行えばよいので、1時間で終わるだろう。

さて、ここからかなり頭を使う作業に入る。

建物の各空間を、利用状況に応じて、パブリック、セミパブリック、セミプライベート、プライベートの4つにゾーニングすることは、おそらく建築計画の授業で学んでいるだろう。その知識を用いて、上で描いた四角形がどのゾーンに相当するかを考えながら、4色に塗り分ける(色を使いにくければ、ハッチングなどでもよい。現時点では、見た目が下品でもよく、とにかくぱっと見て塗り分けたことが分かることを重視するように)。

この作業は、規模や内容によるが、できれば1時間以内、無理でも2時間を上限とする。深く考えてはいけない。直感的にやればよい。

色分けしてみると、ゾーンごとになんとなくまとまりがあるのが分かるだろう。もしまとまりを見いだせなければ、自分の塗り分け方をあらためてチェックすること。それでも、まだまとまりが見いだせなければ、選んだ事例が適したものではなかったということになるので、振り出しに戻る。

今日はこれくらいにして、本でも読みながら寝る。